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かつて、支倉常長が率いた慶長の遣欧使節団がローマに訪れ、日伊の交流が始まって、400周年目にあたる2015年3月13日――。時代は、「慶長」から「平成」となり、今まさに日伊の歴史に新たな一ページが記されようとしていました。日本全国から選ばれし“平成の遣欧使節作家”の皆様によって……。

「今、日本人アーティストの皆様の“和の心”が一つとなり、日伊の歴史に残るようなアートタイル壁画が完成いたしました。しかし、ここまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした」――700余年の伝統を持つローマ・ラ・サピエンツァ大学の講堂で、大勢の学生たちに見守られながら、弊社代表の志知正通のあいさつが日本語からイタリア語へと翻訳されてゆきます。

「それは、このアートタイル壁画が日伊の文化交流の証として、数多くの文化遺産に囲まれたローマの地にずっと遺ってゆくからです。また、ローマ・ラ・サピエンツァ大学は、イタリアの国立大学であり、このような試みは前代未聞のことでしたので、弊社としても細心の注意を払いました。アートタイルが変色することがないよう、特殊加工を施すのは、もちろんのこと、日本人アーティストの皆様の心をきちんとお伝えするためにモザイクタイル専門作家のKatsu氏にもボランティア活動の一環として、ご参加いただきました」

志知正通の双の瞳に映る学生たちの真剣な眼差し。それと対峙するように志知正通は、日本人アーティストの皆様の顔や声を脳裏に浮かべていると、俄かに目頭が熱くなっていることに気づきました。

左から、小社代表 志知 正通、ローマ・ラ・サピエンツァ大学 イタリア東洋研究学科長 マストランジェロ・マティルデ 先生、美術研究家 モドーニ・ルヴィ先生、実行委員長 長谷川 栄 先生

――日本人アーティストの皆様の想いすべてを魂で、学生たちに伝えたい!

「ゆえにローマ大学のご関係者様ならび学生の皆様、どうか日本人アーティストの方々からの最高のプレゼントを受け取って下さい。本当にありがとうございました!」――志知正通が挨拶を終え、一礼すると、大勢の学生たちから盛大な拍手が送られ、至る処でカメラのフラッシュが瞬きました。

その後、ご挨拶は、ローマ・ラ・サピエンツァ大学の学科長であるマストランジェロ・マティルデ先生、美術研究家のモドーニ・ルヴィ先生、長谷川栄先生へと続いてゆきます。その間も、真剣な表情を浮かべ、先生方の話に耳を傾け、ノートにメモを記す学生たち。なんと、彼らは大学内に半年も前から貼られた『平成の遣欧使節作家ローマ芸術祭』の告知ポスターを見て、アートタイル壁画のお披露目の日を指折り数えて、ずっと楽しみに待っていたのだとか。

しかも当初、記念式典への学生の参加は講堂のスペースの関係上、限定100名の予定でしたが、いざ当日を迎えると、3時間も前から大行列ができていたのです。

「僕は、日本の芸術や歴史、文化を学びたくて、ローマ・ラ・サピエンツァ大学に入学しました。そのような折、日本全国でご活躍されているアーティストの皆様の芸術作品がアートタイルになったと告知ポスターで知りまして……。それを誰よりも早く目にしてみたいと思い、朝から並んでいます」と満面の笑顔で答える男子生徒。

その隣では、「やっと、アートタイル壁画のお披露目の日が来たんだと思うと、なんだか緊張しちゃって……。私たちは、施工している時から、アートタイル壁画と一緒に記念撮影をするのを楽しみにしていたんです。ね? みんな」と女子生徒が目配せすると、一人、二人、三人……と、男女が一緒になって、まるで拍手が波のように広がってゆきました。

そして、記念式典が始まる頃には、講堂から学生たちが溢れ、「どうしても、『平成の遣欧使節作家ローマ芸術祭』の記念式典に参加したい」との申し入れが殺到したため、急遽、大学側で300名が収容できる大講堂を開放していただくことになったのです。それでも、席が足らず、立ち見の学生たちもいましたが、「この記念式典に参加できたこと自体が幸せです」と、誰もが満面の笑顔を浮かべていました。

実行委員会の先生方のご挨拶が済み、志知正通は“平成の遣欧使節作家”である日本人アーティストの皆様の気持ちを伝えるべく、学科長であるマストランジェロ・マティルデ先生にある贈り物を贈呈いたしました。それは、モザイクタイル専門作家のKatsu氏に日本人アーティストの皆様の心を胸に制作していただいたローマ・ラ・サピエンツァ大学の校章のアートタイルでした。

「日本人アーティストの皆様より、心の篭った素晴らしいプレゼントをいただき、とても光栄に思います。本当にありがとうございました。心より感謝いたします」と深くお辞儀をする学部長であるマストランジェロ先生――その刹那、講堂内は学生たちの感謝の声で、いっぱいになりました。「ブラボー!」や日本語で「ありがとう!」という声。それは、いつまで経っても講堂から消えることはなく、弊社のスタッフたちの心に刻まれてゆきました。

和やかな雰囲気に包まれた大学内で、一際輝きを放つ学科長室――そこには、狩野永徳(日本画)、 板谷波山(陶芸)、柿本人麻呂(和歌)、 松尾芭蕉(俳句)、葛飾北斎(浮世絵)、黒田清輝(洋画)、空海(書) などの巨匠たちの作品とともに“平成”を代表する日本人アーティストたちの作品がアートタイル壁画になって、燦然と光り輝いていました。日本画、洋画、書道、工芸、陶芸、フラワー、ジュエリー、人形、写真、文芸など、その総数は、240点。

アートタイル全体を木枠で囲み、一枚の壁画のように制作したオブジェ――上段の木枠には、梅と桜がモザイクアートタイルで施され、下段には「時を越えて、いつまでも語り継がれますように」との願いを籠めて表現された流金が優雅に泳いでいます。

「この学科長室は、在学生たちが重要な手続きを行う場だけに留まらず、大使館の方や海外から研究者の方がお越しになった時に重要な会議を開く部屋でもあります。これから“平成の遣欧使節作家”の皆様の作品がアートタイル壁画として、日伊友好の証であり続けることを祈っております」と、学科長室の窓の外を見つめる美術研究家のモドーニ・ルヴィ先生。その双の瞳には、夕陽で紅に染まる古都ローマの街が映っていました。

「朝が来て、昼になり、夜を迎える。このような一見、あたりまえにも思える貴重な一日をアートタイル壁画は、ローマの歴史とともにずっと歩んでゆくのですね」――美術研究家のモドーニ・ルヴィ先生は、そう云うと、再びアートタイル壁画に視線を戻しました。

アートタイル一枚、一枚に果てしなく広がっている幻想的な世界。そこに開いた窓から一片の花びらが届き、まるでアートタイル壁画の物語の始まりを告げているかのよう。

こうして、『平成の遣欧使節作家ローマ芸術祭』は、無事に幕を閉じ、歴史的な建造物に彩られたローマの地で、永久に咲き誇る“和の花”であるアートタイル壁画が誕生したのでした。

文/V.ゆねりあ
撮影/遠山 高広

アートタイルに使用された作品(クリックで拡大)

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長谷川栄
「燦然と」
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板谷波山
「彩磁延壽文花瓶」
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黒田清輝
「湖畔」
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狩野永徳
「唐獅子図」
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葛飾北斎
「冨嶽三十六景
神奈川沖浪裏」
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空海
「風信帖」
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柿本人麻呂
「東の
野にかげろひの
立つ見えて
かへり見すれば
月かたぶきぬ」
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松尾芭蕉
「古池や
蛙飛びこむ
水の音」