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イタリア国立アレッサンドロ・
マンゾーニ小中学校校舎

「ここは、まさにイタリア最後の楽園と呼ばれた地ですね」

イタリア国立アレッサンドロ・マンゾーニ小中学校(※チェリーノ・サン・マルコ市内)の教室の一室で、たくさんの中学校の生徒たちを前にして、満面の微笑みを浮かべる長谷川栄先生――その双の瞳には、春の陽射しに照らされてサファイアのように輝きを放つオリーブ畑や5月30日に星が描かれたカレンダーが映っています。

そして、時計が9時30分になると同時に室内は、厳かな雰囲気に包まれました。瞬時に「あっ……」と感嘆の声を上げる長谷川栄先生と弊社代表の志知正通。
なんと、楽器を手にした生徒たちが日本の国歌である『君が代』を演奏してくれたのです。

「本日は、日本でご活躍されている芸術家の皆様の作品と座右の銘が収録された書籍・『日伊芸術家人生譚』を通じて、特別授業を行います。それに先立ちまして、我々の感謝の意を伝えるために本校の生徒たちによる日本の国歌である『君が代』を演奏させていただきました。さらに今回は、“芸術”による日伊の文化交流を行うということで、プーリア州の教育長であるメリッリ・ヴィンチェンツォ氏を始め、ご父兄の皆様にもお越しいただき、心から感謝いたします」

※左から
美術研究家 モドーニ・ルヴィ先生
プーリア州 教育長 メリッリ・ヴィンチェンツォ氏
美術評論家 長谷川栄先生
カルリーノ・ロゼッタ校長

美術研究家のモドーニ・ルヴィ先生によって、日本語に翻訳されたカルリーノ・ロゼッタ校長先生のご挨拶。それに続いて、『日伊芸術家人生譚』を手にしたプーリア州の教育長であるメリッリ・ヴィンチェンツォ氏が深くお辞儀をし、志知正通が云いました。

「この度は、パクス・ロマーナ《ローマの平和》を実現したローマ初代皇帝であるアウグストゥスの精神に基づき、“芸術による教育”を理想とした書籍が無事に発行できたことは、誠に喜ばしい限りです。これもひとえに日本でご活躍されている芸術家の皆様とイタリアの皆様のご理解とご協力の賜物だと思います。本当にありがとうございました」
室内に木霊する大勢の拍手――それは、イタリアの地で『君が代』を耳にして感動した志知正通の鼓動の如く、いつまでも心に響いているようでした。

やがて、授業に入ると、書籍の一ページ、一ページを開く度に中学生たちの感動に満ちた声が聞こえてきます。
「うわぁ。すごい……」
「どうしたら、こんな素敵な世界観を持った作品ができるのかしら?」
 その声に耳を傾け、生徒たちの質問に答えてゆくモドーニ・ルヴィ先生。その時、不思議と志知正通の中で、生徒たちの話しているイタリア語が日本語のように聞こえ始めました。

「この絵には、どんな想いが篭っているのかな?」と、書籍と向き合う少女。
「昔、僕のパパは仕事で日本に赴任していたことがあるんだ。だから、その時に手に入れた書道で使う立派な筆が家にあるよ!」と、得意げになる少年。
「私は、日本の工芸が大好き!」、「僕は、絵画だな!」、「俺は、書道と詩歌が好き!」、「私は、この『日伊芸術家人生譚』に掲載された日本人アーティストの作品すべてを愛しているわ」、「僕も!」、「私も!」――それは、書籍を真剣な眼差しで見つめる生徒たちの表情などから直接、心へと伝わってきていたのです。

イタリアの中学生たちが初めて触れる日本の美術・芸術の世界。
 インターネットが普及する現代においては、作品を目にする機会はあったとしても、その作品を制作した作家の心情や座右の銘を知ることはできません。
 ゆえに志知正通の双の瞳に映る生徒たちは、長谷川栄先生とモドーニ・ルヴィ先生の一言、一言に耳を傾け、『日伊芸術家人生譚』の一ページ、一ページをめくりながら、歓喜の声を上げているのでしょう。

教室正面に設置されたスクリーンに映像として流れる日本の歴史――古代から始まり、近・現代へと進み、それに合わせるようにして生徒たちの手が至る処で上がります。長谷川栄先生、モドーニ・ルヴィ先生に日本の芸術家の先生方への質問を投げかけ、答えをもらう度に笑顔になる生徒たち。その貴重なひとときの終了を告げるチャイムの音色。

――「ありがとうございました!」

教室いっぱいに響き渡る盛大な拍手の中、深々とお辞儀をしながら生徒たちが解き放った言葉。それは、『日伊芸術家人生譚』にご発表いただいた日本の芸術家の先生方へ向けられたものでした。

ダンテ・アリギエーリ中学校校舎

その翌日、5月31日。
チェリーノ・サン・マルコ市の隣町であるサン・ドーナチ市のダンテ・アリギエーリ中学校にて、『日伊芸術家人生譚』を用いての授業が行われました。
10時30分になり、春の陽気に包まれた教室に澄み渡るカルリーノ・ロゼッタ校長先生(※1)の声。それに続き、ご挨拶をしていただいたのいは、サン・ドーナチ市長のフィナ・ドメーニコ氏でした。 
※1……カルリーノ・ロゼッタ校長先生は、イタリア国立アレッサンドロ・マンゾーニ小中学校とダンテ・アリギエーリ中学校の校長先生を兼任されています。

市長のフィナ・ドメーニコ氏が挨拶を終え、教壇に立つ志知正通。
モドーニ・ルヴィ先生の通訳によって、志知正通の言葉が日本語からイタリア語へと変換され、生徒たちの表情がみるみる笑顔へと変わってゆきます。
 その後、長谷川栄先生が書籍を手にして、本格的な授業へと入って入ってゆきました。

心地よい緊張感に包まれた教室で、長谷川栄先生が話す日本語とモドーニ・ルヴィ先生が話すイタリア語が交互に聞こえてきます。教室正面のホワイトボードにペンを走らせ、生徒たちの反応を見ながら、授業を進行してゆく長谷川栄先生とモドーニ・ルヴィ先生。耳を澄ませば、生徒たちが書籍のページをめくる音やノートにメモを取る音さえ聞こえてきそうです。

――「何か質問は、ありますか?」

生徒たちに問いかけると、室内の至る処で自然と手が上がりました。
その質問に対する答えを書籍に収録された作品や座右の銘を例に交えて、巧みに導きだす長谷川栄先生とモドーニ・ルヴィ先生。
納得のゆく答えをもらい、さらに満面の笑みを浮かべる生徒たち。
そうやって、次から次へとテンポよく質疑応答の時間が続いてゆきます。
その様子を終始、双の瞳に映していた志知正通が俄かに感じた感覚――それは、生徒たちの笑顔がキラキラと虹のように輝いている光景でした。きっと、嬉し涙のせいでしょう。

最後に残った生徒の質問の答えが長谷川栄先生とモドーニ・ルヴィ先生から告げられ、まるでタイミングを計ったかのようにチャイムが鳴りました。
 その瞬間、生徒たちは一斉に起立して、深々とお辞儀をしながら云いました。「ありがとうござました」と。

かつて、ローマには人類史上でもっとも平和な時代を築いた英雄がいました。彼の名前は、アウグストゥス《尊厳ある者》――その名前とともに今、“平和への指南書”とも云える美術書籍が新たな時代を築いてゆくイタリアの子どもたちの手に渡りました。

※左から
美術評論家 長谷川栄先生
サン・ドーナチ市長 フィナ・ドメーニコ氏
美術研究家 モドーニ・ルヴィ先生

――『日伊芸術家人生譚』。

その書籍は、午後の陽射しを浴びて、子どもたちの手の中で宝物のように燦然ときらめいていました。イタリア最後の楽園と呼ばれるプーリア州の翠に包まれながら。
★『日伊芸術家人生譚』の授業の様子は、イタリアの新聞でも取り上げられました。

文 V.ゆねりあ

『日伊芸術家人生譚』の授業の様子を
掲載した現地の新聞